家族信託だけで大丈夫?合わせて任意後見契約も対策するメリットをわかりやすく解説!

家族信託と合わせて任意後見契約も対策するメリット

(1)施設入居の契約をする代理権は家族信託にはない
(2)年金は家族信託できない
(3)任意後見契約の使いづらいポイント


今日のテーマは家族信託と密接にかかわりがある、
任意後見契約のお話です。

任意後見契約とは、

言い換えれば「後見予約契約」です


契約能力があるうちに、
自分の後見人になってほしい人との間で
任意後見契約を結びます。
自分の後見人を予約しておくのです。

そして自分の認知症が悪化してきて、
財産管理や契約行為が難しくなった場合には、
任意後見契約を結んだ方が
後見人に優先的に選ばれ、
自分の財産管理や契約などを行えるようにできます。

家族信託契約と任意後見契約は
よく比較され、
“どちらか”を選択して対策するように
語られますが、それは間違っています!

家族信託契約と、任意後見契約は
それぞれのカバーできないところを
補い合うことができる関係です。

家族信託契約と任意後見契約とを
合わせて対策しておくことが、
最大限の安心につながります。



(1)施設入居の契約をする代理権は家族信託にはない


家族信託契約は、

「信託契約の対象とした財産のみ」について、
「財産の管理・運用・処分」の権限を託す契約になります。


逆に言えば、信託契約に記載した財産以外の財産には
効力が及びません。
また、本人を代理する権限も持っていないのです。

よく挙げられるものが、
ご本人が施設に入居する際の
契約です。

家族信託をしていても、
受託者である子どもには
入居契約を代理して行う権限はありません。


施設側が、お子さん側がサインしてくれるなら
入居を認める運用であれば特に問題は生じません。

しかし、入居に際して本人に契約能力がなく、
後見人の利用を求められてしまうと、
後見人を就けないと、入居手続きができません。

また、後見人に家族が選ばれず、
弁護士や司法書士などの専門家が
選ばれてしまう可能性もあります。

本人や家族が主体的に
コントロールできません。

しかし、あらかじめ任意後見契約を結んでおけば、
信頼できる子供などが後見人に就き、
施設の入居契約も代理して行い、
その後も後見人として親の財産を管理していくことが
できます。

任意後見契約には家族信託を補う機能があるのです。



(2)年金は家族信託できない


施設入居契約だけではありません。
親の介護の時に頼りになるものが年金収入です。

生活費や、医療費、施設の支払いシミュレーションは
年金収入が入ってくることを前提に、
計算しているケースがほとんどです。

しかし、ここで問題があります!!

年金は家族信託することができません。


年金は本人名義の口座にしか
振込めないものになっています。

受託者の口座に振り込んでもらうことは
出来ません。

認知症等が悪化し、本人の口座が凍結を
してしまうと、年金収入も引き出せなくなります!
家族信託していなかった預貯金も同様です。

そうなると、引き出すために
成年後見制度の利用が求められてしまいます。


この時にも、任意後見契約をしていれば、
信頼できる子供などが、後見人に就くことができ、
年金の管理や引き出して本人の生活費・医療費・介護費用に
使っていくことができるのです。

また、金融機関によっては、
凍結した口座を施設費用の引き落としに
指定することが可能なようです。

(3)任意後見契約の使いづらいポイント


このようにみると、任意後見契約こそが
万能な対策のようにも見えます。

一方で、使いづらい点もあります。

任意後見契約をスタートさせ、
信頼できる子供などが後見人に就くタイミングで、
必ず『後見監督人』が就き、『家庭裁判所の関与』が
はじまる点です。


『後見監督人』には、弁護士や司法書士などの
専門家が選ばれます。家族はなることができません。

そして、『後見監督人』の仕事は
任意後見人である家族が使い込みをしないように
見張ることです。

そのため、任意後見人である家族の立場から見ると、
監督人への報告義務という負担が増えます。

後見監督人にも相性の良し悪しがありますが、
相性が悪いからと言って、交代をしてもらうことは難しいです。

そして、後見監督人にも監督人報酬が発生します。

言い換えれば、家族以外の第三者が
家族の生活の中に入ってきてしまうことになるのです。

一方で家族信託であれば、信託した財産について
後見制度を利用せずに、家族の中だけで、
管理し、使っていくことが可能です。


家族の負担を軽減でき、柔軟性を高くすることも可能です。

このような理由から、
ソレイユでは、家族信託契約と任意後見契約とを
セットで結んでいく依頼が多いです。

メインは家族信託契約にて、
ご両親の介護などを行い、
どうしても必要になった場合には、
任意後見契約をスタートさせて
信頼できる子供が後見人に就くことができる。

そうやって、家族の希望通りに
進めていけるようにお手伝いをしています。

家族信託も万能な制度ではありません。
できることだけでなく、できないことも知って、
対策していくことでより安心につながっていくのです。

今日もお読みいただきありがとうございました。

今日のまとめ
(1)施設入居の契約をする代理権は家族信託にはない
(2)年金は家族信託できない
(3)任意後見契約の使いづらいポイント

(友田純平筆)

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NHK「クローズアップ現代プラス」に出演。「家族信託のトップランナー、司法書士」

早くから認知症対策のへの必要性を感じ、10年以上前から家族信託に取り組む。取扱い実績の総額は100億円を超える。

家族信託業界の先頭に立ち、相談者様が安心して使えるようグレーゾーンを明確化にも注力。税理士と協力して行った国税照会により公表されたルールが業界のスタンダードにもなっている。

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