今からできる戦略的定款!株券は不発行にしていますか?

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経営者向けの事業承継対策、
戦略的定款のお話をシリーズでお伝えいたします。

法律はピンチの時に、
出てきます!

今からしっかりと
対策をしておくことで、
将来のトラブルを回避できます。

第1回目の今回のテーマは「株券」について!


2004年の法改正前に
設立した株式会社では
株券を発行することが原則でした!

しかし、この運用について
今、トラブルが生じています。

事業承継対策「株券」について

(1)株券発行会社、株券を渡さない譲渡は無効
(2)株券不発行会社と株券不所持の会社
(3)株券発行会社になっている場合どうするか?



(1)株券発行会社、株券を渡さない譲渡は無効


株券発行会社の場合には、
株式を譲渡するときに、株券も同時に交付することが
求められます。


株式の譲渡契約だけ結んで、
株券の交付をしなかった場合には、
無効になります。

たとえ、親族内の株式譲渡でも同様です。

これが、近年問題になってきたのは
会社のM&Aです!


M&Aの買い手としては、
会社の株式の100%を買い受けないと
目的が達成できません。

そのため、目の前の取引相手が
本当にその権限を有しているかは
関心が高い事項です。

事前調査(デューデリジェンス)の中で、
会社が設立をされてから、
現在までの株主の流れも調査します。


そこで、過去の株式譲渡の不備が
発覚するのです。


過去に、おじさんなどの親族から
株式を買い取って集約出来ていたと思っていたら、
株券の交付がなかったばっかりに、当該譲渡が
無効になってしまう。

再度、有効な株式譲渡をしようと思っても、
おじさんは高齢で寝たきりになっており、
判断能力が認められず、新たな契約はできない。

途中までうまくいっていたM&Aも
頓挫します。

新しい買い手が見つかったとしても
おじさんの保有する株式を動かせないと
諦めるしかありません。

打つ手なしの状態です。

こうならないように、
株券発行会社では注意しなくてはいけません。

また、混乱をしやすいのは、
「実際には株券を発行していない株券発行会社」も
含まれるということです。


(2)株券不発行会社と株券不所持の会社


株券発行会社でも、株主からの要望がなければ、
株券を発行していないことがあります。

むしろ、「株券をしっかりと発行している」会社には
ほとんど会ったことがありません。

株券発行会社であるけれど、
株券の管理が面倒である等の理由から
実際には株券を発行していないという会社が
ほとんどではないでしょうか。


しかし、その場合でも株券交付のルールは
適用されます。


実際には株券を発行していなくても
株券発行会社においては、
株式譲渡契約と一緒に株券を交付しないと、
当該株式譲渡契約は無効になるのです。

M&Aの事前調査(デューデリジェンス)で
問題が見つかった会社も
まさにこの状況だったようです。


さて、「株券不発行の会社」と
「株券発行会社でありながら株式を発行していない会社」とは
会社の登記簿を見れば、簡単に見分けることができます。

会社の登記簿上に、
「当会社の株式については、株券を発行する。」という
記載があれば、「株券発行会社」になります。


つまり、株式譲渡の時に株券の交付も義務付けられる
会社となるのです。



(3)株券発行会社になっている場合どうするか?


もしも株券発行会社になっていることが
分かった場合には、そのタイミングで、
株券不発行とする変更をすることがおススメです。


株券不発行にしてしまえば
前述のような株券交付の問題の発生を
予防することができます。


ほとんどが株券を発行していないので
実態に合わせることになるのでデメリットはありません。

株券発行から、株券不発行への変更は
定款変更の手続きが必要になるため、
株主総会の特別決議が必要になります。

また状況によっては、官報公告の手続きが
必要になりますので、司法書士などに
ご相談をされるといいと思います。

定款を侮ってはいけません!
気付いた時に、整備することで
将来のトラブルを未然に防止することができます。



今日のまとめ
(1)株券発行会社、株券を渡さない譲渡は無効
(2)株券不発行会社と株券不所持の会社
(3)株券発行会社になっている場合どうするか?

(友田純平筆)

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