人生100年時代の「新・相続」4本柱(任意後見、遺言、信託、保険)
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「うちは資産家じゃないから、相続対策なんて関係ない」 そう思っている方ほど、実はリスクが高いことをご存じでしょうか。かつて、人生80年と言われていた時代、相続対策の主役は「死後の手続き」でした。しかし、人生100年時代を迎えた今、私たちは長生きゆえの「2つのリスク」に直面しています。
一つは、認知症などにより判断能力が低下し、自分の財産を使えなくなってしまう「資産凍結リスク」。
もう一つは、老後期間が長くなることで、医療費や介護費がかさみ、資産が枯渇してしまう「長生きリスク」です。
これらのリスクに対応するためには、親が亡くなった後のことだけを考えるのではなく、「親が元気なうち」から「亡くなった後」までをトータルで設計する必要があります。これが、司法書士法人ソレイユが提唱する「新・相続」という考え方です。
「新・相続」は、以下の4つの柱を組み合わせることで、鉄壁の守りを固めます。
1. 任意後見(にんいこうけん)
2. 遺言(ゆいごん)
3. 信託(しんたく・家族信託)
4. 保険(生命保険)
それぞれの役割と、なぜこれらを組み合わせる必要があるのかを見ていきましょう。
第1の柱:任意後見(自分で選べる「将来のサポーター」)
認知症などで判断能力が低下したとき、本人の代わりに契約や財産管理を行うのが「成年後見制度」です。しかし、すでに判断能力を失ってから利用する「法定後見」には、いくつかの使いづらさがあります。
例えば、家庭裁判所が後見人を選ぶため、見ず知らずの専門家(弁護士や司法書士など)が選ばれる可能性が高いこと(専門家選任率は約8割)や、一度始まると亡くなるまで専門家報酬がかかり続けることなどです。また、本人の財産を守ることが最優先されるため、「家族旅行に行きたい」「孫にお祝いをあげたい」といった柔軟な支出が制限されることもあります。
そこで活用したいのが「任意後見」です。これは、親がまだ元気なうちに、「将来、判断能力が落ちたら、この人(信頼できる家族や団体など)に、こういうサポートをお願いしたい」とあらかじめ契約しておく制度です。「誰に頼むか」を自分で決められるのが最大の特徴であり、本人のライフスタイルや希望を尊重したサポートが可能になります。
ただし、任意後見にも弱点はあります。財産管理の権限は与えられますが、資産を積極的に運用したり、組み替えたりするような柔軟な機能は限定的です。また、家庭裁判所から選ばれた任意後見監督人(弁護士や司法書士)がつきます。そこで登場するのが、次の「信託」です。
第2の柱:信託(資産凍結を防ぐ最強のツール)
「新・相続」の中核を担うのが、信託(家族信託)」です。 これは、親が元気なうちに、信頼できる家族(例えば子ども)と信託契約を結び、財産の名義を形式的に子どもに移して管理・処分を任せる仕組みです。
なぜ信託が必要なのか?
最大の理由は、認知症による「資産凍結」を回避するためです。 例えば、親が認知症になり判断能力を失うと、銀行口座は凍結され、定期預金の解約や引き出しができなくなります。また、実家が空き家になったので売却して介護費用に充てようとしても、不動産の売却には本人の意思確認が必要なため、売ることができません。これを「資産凍結」と呼びます。家族信託を利用していれば、財産の名義は受託者(子ども)に移っているため、親が認知症になっても、子どもの判断で預金の引き出しや不動産の売却・賃貸が可能になります。「親の財産を、親のためにスムーズに使えるようにしておく」ための準備、それが家族信託です。
また、信託は「遺言」の代わりとしても機能します。「自分が亡くなったら、この財産は誰に渡す」と契約で決めておくことができるため、スムーズな資産承継が可能です。
信託と任意後見の使い分け
「財産の管理・処分」に関しては信託が非常に強力ですが、信託では「身上監護(しんじょうかんご)」ができません。 身上監護とは、老人ホームの入居契約や、病院での医療・入院手続きなどのことです。これらは「本人」または「後見人」などの法定代理人でなければ行えません。 そのため、財産管理は「信託」で、身上監護は「任意後見」でというように、両者を組み合わせることで、親の生活を物心両面から支えることができます。第3の柱:遺言(「争族」を防ぐラストメッセージ)
3つ目の柱は、おなじみの「遺言」です。 「家族信託があれば遺言はいらないのでは?」と思われるかもしれませんが、信託ですべての財産をカバーできるわけではありません。信託しなかった財産(例えば、年金が入ってくる口座や、愛用の貴金属など)については、遺言で誰に渡すかを指定しておく必要があります。
特に、中小企業のオーナー経営者の場合、自社株や事業用資産が分散してしまうと会社の存続に関わるため、遺言による後継者への集中承継は必須と言えます。 また、法的な効力だけでなく、付言事項(ふげんじこう)として「なぜこのように分けたのか」という親の想いを書き残すことで、残された家族の絆を守る精神的な支柱にもなります。
ただし、遺言はあくまで「亡くなった後」に効力を発揮するものです。生前の認知症対策(資産凍結対策)にはならない点に注意が必要です。だからこそ、生前対策である「信託」や「任意後見」との併用が不可欠なのです。
第4の柱:保険(すぐに使える「現金」を確保)
最後の柱は「生命保険」です。 生命保険には、他の3つの柱にはない、独特かつ強力な「3つの効果」があります。
1. 受取人固有の財産である
遺言がない場合、預金は遺産分割協議(相続人全員の話し合い)がまとまるまで引き出せないことが一般的です。しかし、生命保険金は受取人が単独ですぐに請求し、現金を受け取ることができます。葬儀費用や当面の生活費、相続税の納税資金などをスピーディーに確保できます。2. 相続税の非課税枠がある
「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があるため、現金をそのまま残すよりも節税効果があります。3. 遺留分対策や代償金として使える
例えば、長男に不動産や自社株をすべて継がせたい場合、他の兄弟から「不公平だ」と不満が出るかもしれません。その際、長男を受取人にした保険金を用意しておけば、長男はその現金を他の兄弟に「代償金」として渡すことで、公平性を保ちつつ、不動産や株を守ることができます。また、相続人が海外に住んでいる場合など、印鑑証明書の取得が難しく遺産分割協議が難航しそうなケースでも、生命保険ならスムーズに資金を渡すことができます。
「3つのモッタイナイ」を防ぐために
これら4つの柱を適切に組み合わせないと、以下のような「3つのモッタイナイ」事態に陥る可能性があります,。• ① 財産が凍結して使えないモッタイナイ: 親にお金があるのに、認知症で口座が凍結され、子どもが介護費用を立て替えなければならなくなる事態です。これは「信託」と「任意後見」で防げます。
• ② 実家が空き家になるモッタイナイ: 親が施設に入った後、実家を売りたくても親の意思確認ができず売れない。結果、管理不全の空き家として放置され、資産価値が下がるだけでなく近隣トラブルの原因にもなります。これも「信託(実家信託)」で解決できます。
• ③ 家族の仲が悪くなるモッタイナイ: 「介護を誰がするか」「遺産をどう分けるか」で揉め、兄弟姉妹が絶縁状態になってしまう。これは「遺言」や「保険」、そして生前の家族会議によって防ぐことができます。
まとめ:「家族会議」を開催しましょう
人生100年時代の「新・相続」は、親が亡くなった後の手続きではありません。親が元気なうちに、家族みんなで「これから」を話し合い、準備することです。認知症になってから(判断能力を失ってから)では、利用する制度は「法定後見」に限られてしまい、できる対策が大幅に狭まってしまいます。 「まだ早い」と思っているうちが、対策の適齢期です。
年末年始やお盆など、家族が集まるタイミングは、親の終活や財産管理について話し合う絶好のチャンスです。 「最近、近所で空き家の問題があるみたいだよ」「認知症で口座が凍結されるって知ってる?」といった話題から、少しずつ「新・相続」の4本柱(任意後見・遺言・信託・保険)について話し合ってみてはいかがでしょうか。 早めの準備が、親の安心な老後と、家族の笑顔の未来を守ることにつながります。
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代表者紹介
NHK「クローズアップ現代プラス」に出演。「家族信託のトップランナー、司法書士」早くから認知症対策のへの必要性を感じ、10年以上前から家族信託に取り組む。取扱い実績の総額は100億円を超える。
家族信託業界の先頭に立ち、相談者様が安心して使えるようグレーゾーンを明確化にも注力。税理士と協力して行った国税照会により公表されたルールが業界のスタンダードにもなっている。
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・NHK「クローズアップ現代プラス」
・NHK「ニュースウォッチ9」
・NHKラジオ「三宅民夫のマイあさ!」
・日本記者クラブにて記者会見
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