その節税対策危険です!遺言がない場合のリスクをわかりやすく解説
その節税対策、遺言がないと危険です!
(1)生命保険の非課税枠が使えても申告が間に合わないケース
(2)生前贈与は、遺産分割の取り分に影響する
(3)相続税対策のためのアパート購入は分けられない財産を増やす
(4)孫 養子の親権者にも注意
司法書士の友田純平です。
このコラムでは
現役世代が親の介護で
自身の老後資金や安心生活を
壊さないために必要な情報を
配信をしています。
今回のテーマは、「しくじり節税対策」です。
相続税を下げるための
節税対策の失敗事例について
お伝えします。
「想定外に税金がかかってしまった」
「こんなはずじゃなかったのに」
「遺言があれば、こうはならなかったのに」
というものを具体的に挙げて解説します。
メジャーな対策の注意点もありますので、
是非最後までご覧ください
(1)生命保険の非課税枠が使えても申告が間に合わないケース
預貯金で残すよりも生命保険に変えて
渡した方が相続税は有利になります。
生命保険の相続税対策は
すごいカンタンです!
使わない預貯金で生命保険を組み、
亡くなった時に死亡保険金として渡すだけで、
節税になります。
節税効果は
相続人の数×500万円までは
相続税がかかりません。
具体的には、
相続人が2人いる場合に
1000万円の預貯金を生命保険に変えて
渡すことで、相続税の計算では
除外することができます!!
これは相続税の基礎控除
(3000万円+相続人の数×600万円)とは
別に設けられている有利枠です
生命保険だけの特別待遇とも言えます。
但し、落とし穴があります。
それは相続税申告をするためには
遺産分割協議書または遺言がないといけない
ということです!!
生命保険の節税対策を考える方は
『生命保険以外の財産』もあるはずです!
『生命保険以外の財産』については
生命保険ではコントロールできません。
『生命保険以外の財産』を分けるには、
遺言または、遺産分割協議書が必要です。
そして遺言または遺産分割協議書で
分け方が定まらないと相続税申告ができません。
相続税申告書の添付書面として
必要だからです。
遺言がない場合には、
遺産分割協議書を用意することになります。
遺産分割協議書を用意するためには
「相続人全員の合意で分け方が決まること」、
「相続人全員の実印と印鑑証明書が必要」になります。。。
相続人全員での遺産分割協議がまとまらないと
相続税申告ができません。
そうすると、
もともと期待していた税務上の特例も使えず、
税務上、損をすることにもなりかねません。
遺言や遺産分割協議書がなくても、
法定相続分での申告はできますが、
相続税は満額納付することになります。
特例が使えません!大きな負担です。
遺産分割協議をしようと思った時、
相続人間で生命保険を受け取った相続人と
用意してもらえなかった相続人がいた場合に、
話し合いはまとまるでしょうか?
もしも、
父親の相続で、母親が認知症だった場合には、
成年後見人をつけないと
話し合いができない可能性だってあります!
遺言があれば解決したのに!
これはまだ序の口です
もっと泥沼化する次の事例です!!
(2)生前贈与は、遺産分割の取り分に影響する
生前贈与を使った相続税対策は
計画的に行うことで
大きく相続税を減らすことができます!!
但し、遺言がないと危険信号です!!
4人家族、父親・母親、長男と妹の事例です。
長男は家を継ぐからという理由で、
父親から生前贈与をしてもらっていました。
相続税を圧縮し、多くの財産を引き継ぐためです。
20年以上かけて
2000万円以上の生前贈与です!
おかげで、随分と父親の財産は減り、
長男に渡すことができました!
そこで相続が発生、
遺言は残っていませんでした!!
遺言がないということは、
相続人全員の話し合いで、
分け方を決めなければいけません。
妹のご主人は、
「貰えるものは貰いたい」という性格で、
妹もそのつもりで話し合いに臨んできました!
さて、父親から長男への
生前贈与は『遺産分割』に
どう影響するでしょうか?
実はこの生前贈与、
遺産分割の話し合いの時には
不利に働きます!
長男は生前に財産を贈与してもらっている分、
相続財産からの取り分は少なくなります!
相続人間の平等を考えての法律ルールです。
「え、生きてる時にもらった財産なのに、
相続財産の分け方に影響するの・・・!?」
そうなんです。影響するんです。
「兄ちゃんだけいっぱいもらってずるい。
だから相続の時に平等にする」と妹は主張できます!
専門用語で「特別受益」と呼びます。
そして、いつの贈与まで
遡るかも問題です。。
遡る期間が短いほど、
長男の取り分は大きくなります!
ここでクイズです
次のうち、正しいものはどれでしょう?
——————————
Q父親から長男への贈与、
いつまで遡って、相続財産分けに影響するでしょうか?
①相続発生から3年前の贈与まで
②相続発生から10年前の贈与まで
③相続発生から20年以上前の贈与まで
——————————
チッ
チッ
チッ
チーン
さて、選択肢は決まりましたか?
1つずつ見ていきます。
①相続発生から3年前の贈与まで
→これは相続税の計算の場合の時効です。
相続人への贈与は3年前までのものまで、
相続財産に戻して相続税を計算します。
②相続発生から10年前の贈与まで
→これも不正解。
これは遺留分の計算の場合の時効です。
遺言がない場合には遺留分ではなく、
法定相続分の問題になります。
さぁ答えがわかりましたね!
正解は、
③相続発生から20年以上前の贈与まで。
正しくは、法律上はエンドレスに遡ります。
時効はありません。。
長男は、2000万円以上の
生前贈与を受けたので、
「兄ちゃんはいっぱいもらったから、
相続の時の取り分はなしよ」と
妹から言われる可能性があります。
そして、泥沼化します。
昔の学費のことまでも、
持ち出されると、収集がつかなくなります。
銀行の入出金記録も10年程前までは
保管されています。
それ以上前になると、裏付け資料が見つからない
ことが起こります。
長男も、妹に対抗します。
「お前も高額の学費を出して
もらったじゃないか」など。
争いが長期化すると、
相続税の負担だけでなく、
弁護士費用や精神的な負担も
のしかかります。
遺言があれば、スムーズに申告もでき
遺留分の問題で済ませられたのに。。。
最近の生前贈与の書籍でも
「贈与貧乏」という言葉も
目にするようになりました。
やりすぎ注意ですね。
長くなりましたので、
今回はここまで!!
下記の2つは次回お伝えします!
(3)相続税対策のためのアパート購入は分けられない財産を増やす
(4)孫 養子の親権者にも注意
最後までご覧いただき
ありがとうございました。
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その節税対策、遺言がないと危険です!
(1)生命保険の非課税枠が使えても申告が間に合わないケース
(2)生前贈与は、遺産分割の取り分に影響する
(3)相続税対策のためのアパート購入は分けられない財産を増やす
(4)孫 養子の親権者にも注意
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