認知症の親の対策!意図しない成年後見の利用を避けるために知っておきたい3つのこと

※コラムの内容が動画で分かる
簡単解説を作りました!
↓↓↓



認知症の親の対策!意図しない成年後見の利用を避けるために知っておきたい3つのこと

(1)成年後見制度の利用は、コントロールできない。
(2)成年後見の家庭裁判所への申立ては、4親等内の親族や市区町村長もできる
(3)意図しない利用を避けるための「家族信託」と「任意後見」


司法書士の友田純平です。

このコラムでは、
親の介護を計画的に行い、
自身の老後資金や安心生活を
守っていくために必要な情報を配信しています。

今日のテーマは

「意図しない成年後見制度の利用を回避したい」
そのための方法を、専門家の視点から解説します。



成年後見制度は、これから認知症の方が増えていく中で、
ご本人の財産を守るために必要な制度です。

一方で、
家庭裁判所が関与すること、
家族が必ずしも後見人になれるわけではないなどと、
改善のための専門家会議が開催されていますが、
現時点では使いづらい制度になっています。

意図しない成年後見制度の利用を回避するために

「後見制度の利用のタイミング」
「家庭裁判所に成年後見を申出できる関係者の範囲」
「回避するための対策」


の3つをお伝えします。

ぜひ、最後までご覧ください。


(1)成年後見制度の利用は、コントロールできない。


「後見制度の利用のタイミング」

について、
成年後見制度の利用は家族で100%コントロールできる
ものではありません。

なぜなら、外部から利用を求められて

利用せざるを得ないことが多いからです。



実際に今利用している方は、どのようなきっかけから
成年後見制度をスタートしたのでしょうか?

利用のきっかけは、最高裁判所より
データが公開されています。
——————————

申立ての動機について



○ 主な申立ての動機としては、

預貯金等の管理・解約が最も多く、
次いで、身上保護となっている。


——————————








【引用元】成年後見関係事件の概況―令和4年1月~12月―
(最高裁判所事務総局家庭局)をもとに作成

上記のデータを確認すると、
成年後見制度の利用が求められる場面として
大きく3つが想定されます。

①預貯金の管理・解約(引出し含む)→

銀行

から求められる
②不動産の処分 →

不動産業者や士業専門家

から求められる
③相続手続   →

金融機関や士業専門家

から求められる

「身上保護」や「介護保険契約」も上位にありますが、
子供が介護に協力的であれば、
施設などが成年後見制度の利用を求めずに、
入居できることも多いようですが、
現状では、入退所手続きに後見制度を求める施設が多い事がわかります。

上記のような3つの場面が多いと仮定すると、
それぞれ対策すれば、回避できる可能性が高まります。

具体的には、

①預貯金の引出しでは、


預貯金の引出しを親の関与が無くてもできるようにする。

例えば、
・子供に

生前贈与

する
・金銭の

家族信託

をする

銀行の認知症サービス

を申し込む
など。

②不動産の処分では


不動産を売って、介護費用を捻出する必要性に備えて、
親の関与が無くても親の不動産を子供が処分できるようにする。

例えば、
・実家不動産の

家族信託

など

相続手続では


相続人に重い認知症等で契約能力が難しい方がいる場合、
当該相続人の関与なしで相続手続きをできるようにする。

例えば、

遺言

家族信託

 など

上記のような対策をしていれば、成年後見制度の利用を回避して
手続きを進めることができます。

しかし、

対策をしていないと、

成年後見制度の利用を求められたときには、

「成年後見制度の利用」

をするか、

「手続きを塩漬け」

にするかの
極端な2択を迫られます。

また、裁判所の公開データに直接は出ていませんが、

「相続放棄のため」

という理由も
今後出てくると考えています。

具体的には、父母が、
子供のいない叔父・叔母の相続人になっていて、
叔父・叔母が生前に
借金などを残ってしまった場合です。

相続放棄のためにも、契約能力が必要ですが、
重い認知症などで難しい場合には、
成年後見制度の利用が必要です。

残念ながら、相続発生前には相続放棄は出来ず、
事前の対策は難しいです。

その場合には、成年後見制度を利用しつつも
家族の有利に進められるように
次の章でも出てくる「任意後見契約」が有効です。


(2)成年後見の家庭裁判所への申立ては、4親等内の親族や市区町村長もできる


(1)で、回避するための対策について紹介しました。

しかし、意図しない成年後見制度の利用を
100%防げるわけではありません。

その理由は、

「家庭裁判所に成年後見を申立できる関係者の範囲」


にあります。

実は、成年後見制度の申立権者の範囲は広いです。

本人,配偶者,4親等内の親族,市区町村長

などが、
権限を持っています。

そして4親等内の親族とは、下記の図で出てくる親族が
全員当てはまります。












注意すべきは、親族間で争いがある場合

です。

親の財産や介護のことで敵対している親族がいると、
子供のうち、特定の1人が親の財産を管理していることへの不満から
成年後見制度の申立てをし、財産の管理主体を後見人にするよう
試みることができます。

この場合に、認知症等の親について
医者の診断書は必要になりますが、
他の親族の同意は必要ありません。

また、親族間に対立がある場合には、
家族ではなく弁護士や司法書士などの士業専門家が
後見人に選任される傾向です。

この場合には、後見制度の利用を回避する方法はありません。

そのため対策として、成年後見制度を利用しても
家族の有利に進められるように
「任意後見契約」の対策が有効です。

「任意後見契約」を親と信頼できる子供との間で
結んでおけば、万が一、他の親族から
成年後見制度の申立てがされたとしても
当該子供が優先的に後見人に選ばれます。

そのため、
主導権を家族以外の第三者に渡さずに
済みます。

但し、任意後見人に就いた子供の
見張り役として後見監督人が必ず就きます。

後見監督人は、弁護士や司法書士などの士業専門家が
なるため、報酬も発生します。

「任意後見契約」の仕組みについては詳しくは
下記の動画で解説をしています。
↓↓↓↓
家主と地主 3月号掲載コラム解説:「円満家族」を守る!任意後見契約で家族を後見人に指定


本来であれば、申立権者を増やし、本人の権利や財産を守ることが
主であったところ、対立の道具として使われた事例も実際にあります。

(3)避けるための「家族信託」と「任意後見」


意図しない成年後見制度を避けるためには、
・親の関与が無くても財産を動かせるようにしておく。
・仮に成年後見制度を利用しても、家族で主導権を握る。
ことをお伝えしました。

そして、「回避するための対策」
として
「家族信託」や「任意後見契約」を紹介しました。

「家族信託」

を元気なうちにしておけば、
不動産や金銭の管理を信頼している子供などに任せることができます。

子供に家族信託をしていれば、親が重い認知症等で判断能力が難しくなっても、
子供が財産を動かし、管理することができ、
親の施設費や生活費、医療費を支払っていくこともできます。

また、

「任意後見契約」

を信頼できる子供(または配偶者など)と
結んでおけば、意図しない成年後見の申立てがされた時にも、
主導権を握れます。
後見人には、その任意後見契約を頼んだ方が優先的に選ばれるからです。

過去から今まで長い時間、研究をしてきましたが、
残念ながら意図しない成年後見制度の利用をゼロにする方法は
見つかりませんでした。

しかし、対策をすることによって、ゼロに近づけることや、
有利な方向にもっていくことはできます。

対策は、契約能力がある間でないとできません。

知っているか知らないかで未来が変わります。

また、親が認知症と診断された場合に
すぐにやりたいお金の対策についても紹介しています。
↓↓↓↓
親が認知症と診断!まずやりたいお金の対策3選【低コスト編】

親子で相談し、家族で安心の方向に進むよう、
今回の情報が役立ったら嬉しいです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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NHK「クローズアップ現代プラス」に出演。「家族信託のトップランナー、司法書士」

早くから認知症対策のへの必要性を感じ、10年以上前から家族信託に取り組む。取扱い実績の総額は100億円を超える。

家族信託業界の先頭に立ち、相談者様が安心して使えるようグレーゾーンを明確化にも注力。税理士と協力して行った国税照会により公表されたルールが業界のスタンダードにもなっている。

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■テレビ出演
・NHK「あさイチ」
・NHK「クローズアップ現代プラス」
・NHK「ニュースウォッチ9」
・NHKラジオ「三宅民夫のマイあさ!」
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