親なきあと対策でなぜ遺言が必要なのか?親心遺言のススメ!(前編)

今回は障がいがある子どもがいる場合の
親なきあと対策についてです。
次回の記事との2回にわけてお届けします。

「親なきあと対策でなぜ遺言が必要なのか?」


子どもが知的障がいを持っていて、
意思表示が苦手な場合に、
親が遺言を作ることは必須です。


これは、一人っ子の場合でも、
健常なきょうだいがいる場合でも同じです。

今日の記事と次回の記事を最後までご覧いただくと、
「遺言がない場合」と比べての「遺言を作成した場合の経済効果」
「遺言がない場合」に陥るトラブルについて分かります。

親なきあと対策で遺言が必要な理由

☆今回(1)相続財産を動かすには、子どもの契約能力が必要
☆今回(2)子供の成年後見人は、親とは異なる考えで行動する
次回(3)今すぐ親心遺言を作る!将来、遺言を作り直す!


(1)相続財産を動かすには、子どもの契約能力が必要


次の家族の場合で考えます。
・父親(60)
・母親(55)
・知的障がいのある長男(23)

母親はパートで働き、
主に父親の収入で生活をしています。
自宅も父親の名義です。

父親・母親・長男の3人で、
自宅で過ごしています。

そこで、父親に相続が生じた場合を
考えていきます。

母親としては、悲しみに浸りながらも
障がいのある長男を守っていき、
自分も生活をしていくため、
生活資金を確保する必要があります。

そのため、父親の名義の預貯金を解約し
お金を引き出さなくてはいけません。

しかし、これが簡単にはできないのです・・・

預貯金の解約や不動産の名義を変えるためには、
相続人全員で遺産分割協議をして、
誰が何を相続するかを確定する必要があります。


そこで有効な遺産分割協議を行うために、
障がいのある長男にも契約能力が必要になるのです!


そこで、長男さんに契約能力が
認められない場合には、遺産分割協議をすることができません。

そして、父親名義の預貯金を
引き出すことが出来ないのです。

2019年の相続法改正により、
一部を引き出せるようになりましたが、
あくまで全体から見てのごく一部です。

父親の全財産について相続手続きをしたい場合には、
『成年後見制度』の利用を求められます。


(2)子供の成年後見人は、親とは異なる考えで行動する


成年後見制度とは、契約能力が難しい方のために
家庭裁判所がその方のための代理人(弁護士・司法書士などが多い)を定めて
本人の財産を守るための制度です。

当該代理人のことを「後見人」と呼びます。

後見人の仕事は、
契約能力が難しい方が財産を騙し取られることを防ぎ、
『財産を守ること』になります。


しかし、この『財産を守ること』という点が
親御さんのイメージとは違うことが少なくありません。


相続の場面もその一つです。

先程の事例に戻ります。

父親の財産について相続手続きをするためには
障がいのある長男に後見人を選任してもらい、
遺産分割協議をすることになります。

長男に成年後見人を就けることで
遺産分割協議はできるようになります。


しかし母親の思い通りの
『相続財産の分け方』に
なるとは限りません。


母親としては、全財産を自分が相続をし
そのお金を自分や長男のためにも使用し、
「障がいのある長男のことを守っていくこと」を
願っているかもしれません。

しかし、その分け方は難しいです。

先程お伝えした通り、後見人の仕事は
障がいのある長男の『財産を守ること』です。

そしてそれは、
長男の法定相続分を確保することに
つながります。

このご家族の場合、母親に2分の1、長男に2分の1の
法定相続分があります。


そのため、母親の取り分は半分だけです。


加えて、父親の財産が自宅と預貯金とある場合には、
母親は自宅を相続し、預貯金は長男が相続するため、
母親は金銭をもらえない可能性が高くなります。


預貯金と違い、
自宅は持っているだけで維持管理コストが
かかる財産です。
そのため、管理が大変です。

預貯金の方が、
流動性が高く管理をしやすい財産のため、
長男が相続をして、
後見人が管理をすること
になる可能性が高いのです。

そして、この場合に、

原則として後見人は、
当該お金を母親のためには
使ってはくれません!!!


では、どうしておけばよかったのか、
そのための解決策が『親心遺言』になります。


具体的には、次回の記事にてお届けします。

もう1つ、知的障がいのあるお子さんに意図しない成年後見を避けるために!
そのためには「○○しない」ということも重要です。
未成年の間は親権があるため、親が手続きを進めることができてしまいます。

でも成人をしたときに後見制度を求められる制度もあります。
こちらについてもぜひ知ってほしい。分かりやすくまとめました。
↓↓↓↓↓
知的障害の子に意図しない成年後見の利用を避ける対策!子が未成年の場合に実は注意な3つの制度

今日のまとめ
☆今回(1)相続財産を動かすには、子どもの契約能力が必要
☆今回(2)子供の成年後見人は、親とは異なる考えで行動する
次回(3)今すぐ親心遺言を作る!将来、遺言を作り直す!

(友田純平筆)

関連ブログ

親なきあとの備え、子どもの名義でお金を貯めてはいけない理由



【2つのお知らせ】

【1】知的障がいの子供とお母さんを守るための対策
を無料動画で配信しています


【動画で伝えていること】

知的障がいのある子供がいる場合
母親を守る対策が、子供を守ることにつながる』

知ってほしい2つの対策
(1)子供の名義でお金を貯めない
→子供名義で貯めたお金は、子供のために使えないかもしれません

(2)お母さんに相続させる遺言を作る
→お父さんに相続が発生した時に、お母さんは財産の半分しかもらえない危険。
 知的障がいの子供がいる場合の相続について知ってほしい。

動画中では、対策の必要な理由の解説や
母親に渡し、知的障がいのある子を守る遺言の3つの効果
についてもお伝えしています。


【2】知ってほしい!知的障がいの子供のための
親心対策の考え方講座
(3日間の無料メール講座)

知的障がいのお子さんを持つ親御さんのご相談に
数十件以上対応してきた中で、たどり着いた親心対策の考え方を
3回のメール講座で配信しています。
無料です。

個別相談はまだハードルが高いと考える親御さんに
私たちが最低限知っておいて欲しいことをまとめました。
登録して、情報だけでも受け取ってください。


配信タイトル
(1)【親心対策の考え方講座1】心配なお子さん名義で貯めてはいけない理由
(2)【親心対策の考え方講座2】親心対策は、「親の親」や「親の兄弟」からも影響を受ける
(3)【親心対策の考え方講座3】使わないための親心後見、必ず必要な親心遺言

知ってほしい!障がいの子供のための親心対策の考え方講座(無料3回メール講座)
お名前
メールアドレス

ここまでご覧いただきありがとうございました。



個別相談も対応をしています。
下記の「お問い合わせ」からご連絡ください(親心対策の相談は無料)。
ぜひ、力にならせてください。

司法書士法人ソレイユへのお問い合わせは
こちら

オンラインでご面談をご希望の方は 
こちら

ご不明な点は、
司法書士法人ソレイユまで
お問い合わせください

SEARCH

代表者紹介
NHK「クローズアップ現代プラス」に出演。「家族信託のトップランナー、司法書士」

早くから認知症対策のへの必要性を感じ、10年以上前から家族信託に取り組む。取扱い実績の総額は100億円を超える。

家族信託業界の先頭に立ち、相談者様が安心して使えるようグレーゾーンを明確化にも注力。税理士と協力して行った国税照会により公表されたルールが業界のスタンダードにもなっている。

実績、お客様へのアフターフォローサービス、家族信託のお手伝いをしたお客様の声は、『代表者紹介ページはこちら』ボタンをクリック

メディア出演履歴
■テレビ出演
・NHK「あさイチ」
・NHK「クローズアップ現代プラス」
・NHK「ニュースウォッチ9」
・NHKラジオ「三宅民夫のマイあさ!」
・日本記者クラブにて記者会見

代表者紹介ページはこちら

CATEGORY