付言事項に何を書く?相続専門家が下書きを代わりに作る3つの理由!
category:
付言事項に何を書く?相続専門家が下書きを代わりに作る3つの理由!
(1)「法律面での対策」と「心の面での対策」
(2)付言事項は初めての人がほとんど
(3)距離が近い第三者だからわかることがある
こんにちは!
司法書士の友田純平です。
このコラムでは、
介護に振り回されず、
自身の老後資金や安心生活を
守っていくために必要な情報を配信しています。
みなさん、自身の遺言に付言事項はつけましたか?
これから遺言を作成する方は付言事項をつけますか?
付言事項とは、
遺言と一緒に残す手紙です。
「長女には老後の面倒をいろいろと助けてもらったから
自宅不動産は長女に相続させることにした」
「先祖から受け継いだ不動産を○○家を継ぐ長男に
守っていってほしい」
「これからも、家族で仲良く笑って過ごしていって欲しい。
そのために私の遺産を役立ててくれ」
など。
遺言では、
「財産を○○に相続させる」という
分け方の希望以外に、
自分の想いを一緒に残すことができます。
『付言事項(ふげんじこう)』と呼びます!
そして、付言事項は遺言の一部として、
自分の相続が起こった時に、
財産の分け方と一緒に
相続人の目に触れる文章となります。
付言事項には特に決まりはなく、
何を書いて残しても問題ありません。
私は、付言事項として
「なぜこのように財産分けたのか?」
その理由を残すことを勧めています。
付言事項を上手に活用することで、
相続人間の争いを防止し
家族の平和を守る事にもつながります。
私たちがお手伝いするときには、
遺言を作る方にインタビューして
私自身が付言事項の下書きを
作成することもあります。
なぜそこまでやるのか!
私の「想い」をまとめました。
(1)「法律面での対策」と「心の面での対策」
相続による、家族間の争いを防ぎたい、家族の平和を守りたい!
人は納得できないことがあると
悔しさが生まれ、
感情がいら立ち、
他の相続人にぶつけ、
相続人間の争いに発展していくのを
見てきました。
相続対策には、
「法律面での対策」と
「心の面での対策」が
あります。
遺言で財産の分け方を決めておけば
「法律面での対策」はできます。
しかし、それだけだと
「心の面での対策」には不十分です。
「不動産の多くは長男に相続させる。」
という遺言が残っていた場合に、
次男はどう受け取るでしょう?
「俺も両親の面倒を見てきたのに、いつも兄貴ばかりずるい」
という負の気持ちを生じさせてしまうかもしれません!
感情が爆発し、相続人間で言い合いが起こり、
家族の中に亀裂が起こってしまう。
その亀裂をきっかけに疎遠になったというのは
よく耳にするお話です。
「法律面での対策」が充分で、
無事に財産を渡すことはできたとしても、
相続人間での
言い争いが起こってしまったら
「心の面での対策」は失敗です。
相続のサポートをする中で、
「法律面での対策」だけでなく、
「心の面での対策」もサポートし、
相続後も家族で争いが起こることなくまとまり、
仲良く暮らしていくためには
どうすればいいか?
その方法を研究し続けて、
たどり着いたのが
「付言事項」でした!
付言事項で、
『遺言者の想い』を残す。
遺言者がどのように考えて、
この分け方を決めたのか?
「限られた時間の中で、なんとか平等にできないかと
とても迷いながら決断した」
「自身の亡き後、面倒を見てくれた子供が安心して
暮らしていくためにはどうしてもこの財産を渡したい」
「個人の資産のようにも見えるが会社を
経営していくために必要な資産なんだ」
「自分が達成できなかった社会課題の
解決のために役立てて欲しい」
などなど
分け方とともに『遺言者の想い」が
相続人に伝われば納得はできる
↓
納得ができれば、不公平な分け方でも
受け入れることができる。
↓
受け入れることができれば、
相続人間の争いを回避し家族の平和を守れる。
そのように考えました。
また、『遺言者の想い』があることで、
もらう相続人が他の相続人に
遺言の内容を伝えやすくなります。
「お父さんがこう考えて決めた内容だから」
と説明できるので、
精神的な負担がだいぶ軽減されます。
(2)付言事項は初めての人がほとんど
ただうまくいかないんですね遺言者の方に「付言事項を書いてください」
と言っても、なかなか作れない。
自分が亡くなった後のための手紙は、
初めて書く人がほとんどだと思います
「どんな内容が正解なのかイメージできない」
「気持ちはあるけれど 言語化できない」
「なかなか 筆が進まない」
結果として
そっけなく終わってしまった方
うまく伝わらない方
なかなか、作れない方
もいました。
「あのとき話していた想いを
盛り込んだほうが伝わるのに」
と感じたこともあります。
また、付言事項にも注意点が2つあります
①相続人全員に見られること
②銀行や法務局などの目にも触れること(相続手続きで提出するため)
そのため、相続人の一人にだけ伝えたい内容は、
別の方法で残した方がいいでしょう。
「ちょうどいい付言事項」を
作るのは難しいなと
感じていました。
その時に、あるセミナーで
講師が付言事項は
「遺言者にインタビューして
下書きを作っている」話を
していたことを思い出しました。
そうだ、同じように私が下書きをつくり、
遺言者の方に直してもらうのはどうか!?
それが、遺言の下書きを
作り始めたきっかけです。
(3)距離が近い第三者だからわかることがある
初めて書く場合と比べると圧倒的にアドバンテージがあります。
「他のご家族の付言事項も見ているため、
完成物のイメージを持てている」
「この遺言により、どのような相続が実現するかも
法律的に分かっている」
「遺言の内容を補うため
盛り込んで欲しい要素が構造的に考えられる」
それであれば、
私の方で下書きを作り
遺言者に読んでもらう。
遺言者も、ゼロから作るのは
難しくても、
私の作った文章を読んで、
自身の想いが書かれているかは
簡単に判断できます。
また、既存の文章を修正するほうが、
遺言者の負担も少ないことが分かりました
どうやら私には、才能があったようです!
「そうそう、こういうことを言いたかった。
作ってくれた文章は私の気持ちそのままです」
「びっくりした。
私は話していてもついだらだらと
回りくどくなってしまう。
本当に伝えたいことをまとめてくれた。」
(私から、「こういう内容を考えています」と伝えたところ)
「先生、それいいですね。ぜひ、その内容でお願いします!!」
と、おっしゃっていただいたことは、
30件以上ありました!
また、私自身が作るときには、
『感情が伝わること』
を大事にしています。
言葉の後ろにある、
「感謝」や「期待」、
「迷い」や「申し訳なさ」
「なんとも言えない気持ち」
その感情もなんとか伝えらられないかと、
模索しながら作っています。
そこも、うまく伝わったのだと思います!
また、相続人ではない第三者だからこそ
フラットに見ることができ
必要十分な言葉をすくい取れることにも
強みです。
結果、相続の争いを回避し、
幸せな相続の実現につながっているのではと
感じています。
また、副次的な効果で、
遺言者の方もとても嬉しそうなんですね。
「自分のモヤモヤとした気持ちが
スッキリした」という顔をされます。
以上が、私が付言事項案を代わりに作る理由です!
最後に、実際に作成した付言事項の下書きを紹介します。
付言事項
私の財産について、願いを込めて、遺言を残します。長男さん、次男さん今まで、本当にありがとう。
私の財産について、お父さんのときと同じように
長男さんと次男さんとで2分の1ずつとなるようにしました。
お父さんとの思い出が残っている自宅
については、住み続けてくれる長男さんに相続するようにし、
その分について次男さんと不公平にならないような
分け方にしています。
お父さんと私とで築いてきた財産について、
長男さんの家族、次男さんの家族の幸せに
役立ててもらえればと思います。
次男さんには、可能な限りでいいので、
家を守っていく長男さんのことを
助けていってくれると嬉しいです。
これからもお父さんと一緒に空から見守っています。
ご主人との思い出が残っている自宅は残してほしい
という想いを強く感じたので、そのように盛り込みました。
この後に、お母さんご本人が何度も読み返し、
修正して、最終的な付言事項となりました。
お母さんや長男さんからも
とても喜んでいただいたことを覚えています!
これからも続けていきます。
縁があり、あなたの遺言をお手伝いするときには、
ぜひあなたの想いを伝える付言事項
お手伝いさせてください。
付言事項をお手伝いした他の方の例については
下記のページの動画で内容も含めて解説しています。
↓↓↓↓↓
家主と地主 7月号掲載コラム 「円満家族」を守るために、専門家が提案する遺言へ盛り込むべき事項3選
※時間10:13~「実際に遺言に載せた付言事項の例」を紹介
今日の記事に関連して、
私自身が30代の時に遺言を作りました、
その理由を解説しています。
「30代で遺言を作った理由」実録!
相続の専門家が行なっている自分の終活
また、特に遺言作成を勧めるご家族の特徴も
下記の記事でお伝えしています。
相続トラブル事件簿!こんな家族はもめやすい!
親名義の家に同居してる場合の注意点をわかりやすく解説!
知っているか知らないかで、未来が変わります!
最後までご覧いただきありがとうございました。
司法書士法人ソレイユへのお問い合わせは
オンラインでご面談をご希望の方は
SEARCH
代表者紹介
NHK「クローズアップ現代プラス」に出演。「家族信託のトップランナー、司法書士」早くから認知症対策のへの必要性を感じ、10年以上前から家族信託に取り組む。取扱い実績の総額は100億円を超える。
家族信託業界の先頭に立ち、相談者様が安心して使えるようグレーゾーンを明確化にも注力。税理士と協力して行った国税照会により公表されたルールが業界のスタンダードにもなっている。
実績、お客様へのアフターフォローサービス、家族信託のお手伝いをしたお客様の声は、『代表者紹介ページはこちら』ボタンをクリック
メディア出演履歴
■テレビ出演
・NHK「あさイチ」
・NHK「クローズアップ現代プラス」
・NHK「ニュースウォッチ9」
・NHKラジオ「三宅民夫のマイあさ!」
・日本記者クラブにて記者会見
CATEGORY