成年後見人の費用はいくら?現状と後見改正後はどう変わるか分かりやすくサキヨミ

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成年後見人の費用はいくら?現状と後見改正後はどう変わるか分かりやすくサキヨミ

成年後見制度を利用するには、大きく分けて、スタートするときの「家庭裁判所への申立費用」と、スタートした後の「成年後見人への毎年の報酬(いわゆるランニングコスト)」の2つの費用があります。

2つの費用

申立てにかかる費用は、実費で2万円程度です(鑑定が必要な場合には、さらに10~20万円程度)。申立て手続きを専門家に依頼する場合には、さらに10万円~30万円程度の専門家報酬がかかってきます。

利用開始後の成年後見人への報酬については、基本報酬として年間24万円から72万円程度のランニングコストが発生します。現状では、成年後見制度が終了するまで(原則としてご本人が亡くなるまで)、ずっと支払い続ける必要があります。

このように積み上げていくととても大きな金額になるので、事前にかかる費用やその資金繰りなどを把握しておくことが重要です。

この記事では、以下の内容について解説をしていきます:

  1. 成年後見制度でかかる費用の詳細
  2. 費用が払えない場合の行政による助成制度の紹介
  3. 6月に国会で成立した改正後見制度(改正案)において、費用がどのように変わっていくか?

【1】成年後見制度をスタートするときの費用

成年後見制度をスタートするときの費用

(1)申立てにかかる費用実費

成年後見制度の利用をスタートするためには、家庭裁判所への申立てが必要です。その際に、申立て費用や、一緒に提出する証明書の取得実費がかかってきます。

具体的な必要書類と費用について:

家庭裁判所への提出書類・費用

  • 申立書に貼る印紙代:800円
  • 後見登記手数料:2,600円
  • 郵便切手:3,000円〜6,000円程度(一緒に提出するもの)

本人・候補者に関する証明書等

  • 本人の戸籍謄本:1通 450円程度
  • 本人および後見人候補者の住民票:1通 300円程度
  • 医師からの診断書:5,000円〜1万円程度
  • 登記がされていないことの証明書:1通 300円(東京法務局本局などで取得)
    https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/i_no_02.html
  • 不動産の登記事項全部証明書:1通 600円(法務局で取得)
  • 銀行の残高証明書:銀行ごとに異なる(ただし、通帳のコピーでも代替可能)

特別な手続きが必要な場合の費用

  • 専門医による鑑定(家庭裁判所が本人の判断能力の程度を医学的に確認する手続きです)が必要な場合:鑑定手数料として 10万円〜20万円が別途かかります。
  • 保佐制度・補助制度の申立ての場合:同意権または代理権付与の申立てとして、それぞれ 800円の印紙代が別途かかります。

(2)専門家に頼む場合の報酬

上記資料の準備や家庭裁判所への申立書の作成手続きを、専門家に依頼して準備してもらうことができます。

その場合の費用については専門家ごとに異なりますが、おおよそ10万円から30万円程度の専門家報酬がかかってきます。

【2】成年後見開始後の比較

(1)後見人に親族が就いたケース

(1)後見人に親族が就いたケース

後見人に親族がついているケースの場合には、親族は報酬を請求しないこともできるし、請求することもできます。多くは、特段請求していないということが多い印象です。

一方で、ご本人の預貯金が積み上がった結果、1,000万円ほどを超えると、家庭裁判所から別途、

  • 後見監督人(後見人の仕事ぶりを家庭裁判所に代わってチェックする専門家)の新規追加
  • 後見人の新規追加(2人体制)
  • 後見制度支援信託(日常的に使う分だけ手元に残し、大部分の財産を信託銀行等に信託して払戻しに家庭裁判所の関与を必要とする仕組み)の活用

のいずれかを選択するよう提案されるトラブルが生じています。

これは家庭裁判所として、親族後見人の管理する財産額が大きくなると、横領などの懸念が生じることからと推察しています。

そのような事態に対処するために、過去の報酬をまとめて請求し、ご本人の保有金額を下げるような対処法もあります。

その場合に報酬付与の申立てに期限はありませんので、後見人就任時からの報酬をまとめて申し立てることも可能です。

(2)後見人に親族以外が就いたケース

令和8年3月に、最高裁判所事務総局家庭局より、後見制度の報酬に関する実態調査の集計が公表されました。

こちらでは、令和7年7月から12月までの半年間に認められた報酬について、対象となった事件の総数10万2,466件を集計したものになります。

実態調査によると、成年後見人の報酬(親族以外の成年後見人・付加報酬の求め有り)は下記のようになっています

報酬額は本人の流動資産額によって決まっています。

親族以外の成年後見人 付加報酬の求め有りのケース

親族以外の成年後見人 付加報酬の求め有りのケース
流動資産額 報酬額の目安(付加報酬あり)
100万円未満 20万円以上が82.8%
100万円以上500万円未満 20万円以上が89.4%
500万円以上1,000万円未満 20万円以上が90.1%
1,000万円以上5,000万円未満 40万円以上が65.9%
5,000万円以上1億円未満 60万円以上が69.4%
1億円以上 70万円以上が64.3%

【参考】報酬に関する実情調査の集計結果について- 令和7年7月~12月 -(資料4)より作成

https://www.courts.go.jp/assets/R7housyukekka.pdf

【参考】付加報酬とは:付加報酬とは、基本報酬とは別に後見人が特別困難な業務を行った場合に支払われる費用になります。

イメージは会社員におけるボーナスのようなものでしょうか。例えば、本人に代わって遺産分割協議を行ったり、不動産を売却したりした場合などが当てはまります。

(3)後見報酬の請求の流れ

後見報酬の請求の流れ

後見人などの報酬をもらう流れは、毎年、後見人などが家庭裁判所への定期報告時に「報酬付与の申立て」を行い、報告期間1年分の報酬として家庭裁判所が報酬額を決定します。

当該金額を、後見人が管理しているご本人の通帳より引き出すという流れになります。そのため、毎月のように引き落とされたりするものではありません。

注意点として、当該報酬額が適正かなどについては「即時抗告」(決定に不服がある場合に上級の裁判所へ見直しを求める不服申立て)が認められていません。そのため、ご本人や家族が報酬額に不満を抱いた場合でも、その裏付けが確認できないという問題が生じています。

【3】後見報酬が支払えない場合の助成制度

成年後見制度を利用したいが、生活が困窮しているなどの事情により報酬が払えない方に向けては、「成年後見制度利用支援事業」として、各自治体にて報酬助成制度があります。

ここでは東京都北区の例を紹介します。

東京都北区の例

成年後見制度の本人・親族申立費用、後見人等の報酬助成

本人・親族による申立で成年後見制度の費用を負担することが困難な方に対して、申立費用や成年後見人等への報酬費用を助成します。

■対象者

助成の対象となる方は、次の1.~5.いずれにも該当する方です。

  1. 本人、配偶者又は四親等内の親族からの申立てにより成年後見制度を利用しようとする65歳以上の方
  2. 介護保険の保険者が東京都北区の方(住民登録が北区以外でも対象となります)
  3. 申立費用又は家庭裁判所が選任した成年後見人、保佐人又は補助人に対する報酬等の支払いが困難で、下記ア~エを満たす方
    • ア.住民税非課税世帯(世帯員全員が非課税)
    • イ.当該者の属する世帯の資産が概ね100万円以下
    • ウ.年間収入※が単身世帯で概ね150万円(世帯員一人増えるごとに50万円を加算)以下
    • エ.居住する家屋その他日常生活に必要な資産以外に活用できる資産がないこと
  4. 東京都北区以外の自治体又は団体等が実施する同趣旨の制度で助成を受けていない方
  5. 成年後見人等が、本人の配偶者及び四親等内の親族でない方

なお、本人以外による配偶者若しくは四親等内の親族が申立てを行い、申立費用を負担した場合には、被後見人等が上記の内容を満たし、かつ申立人が住民税非課税者または生活保護を受給されている場合に対象となります。(親族申立人は区外在住可)

※年間収入に含まれるもの

恩給、年金、失業保険金その他公の給付、生活保護費、就労による収入、仕送り等。但し、国や地方公共団体等から受領した一時的な給付金等のうち、収入として認定することが適当でないと北区が判断したものは除く。

■助成費用

1.申立費用

  • 申立手数料、登記手数料、郵便切手:8,000円以内
  • 〇鑑定費用:100,000円以内
  • 〇診断書作成費用:10,000円以内

2.成年後見人等への報酬・成年後見人等事務手数料(通信費、コピー代、交通費等)

  • 〇施設入所者:月額18,000円以内
  • 〇在宅生活者:月額28,000円以内

【参考】成年後見制度の本人・親族申立費用、後見人等の報酬助成|東京都北区

https://www.city.kita.lg.jp/socialcare-health/elderly/1008607/1008620.html

自治体によっては、助成制度がない自治体や、助成制度の対象が区長申し立てに限られている自治体(杉並区など)もあるので、住んでいる地域で助成が受けられるかについては確認してください。

【参考】成年後見人等の報酬助成制度|杉並区

https://www.city.suginami.tokyo.jp/s034/1834.html#p4

(2026年7月13日時点の情報)

【4】後見制度の改正によって変わるのか?

(1)改正によって後見制度はどう変わる?

先月(令和8年6月)に成年後見制度の改正案が国会で可決され、成立しました。詳細については下記コラムにて取り上げています。

ひどいと言われてきた成年後見制度が改正されます

成年後見制度が改正

URL: https://votre-soleil.com/blog/8230/

簡単に言うと、今までは認知症の重度・軽度などのレベルごとに

  • 「後見」(判断能力がほとんどない方向け、支援者の権限が最も広い)
  • 「保佐」(判断能力が著しく不十分な方向け)
  • 「補助」(判断能力が不十分な方向け、支援者の権限が最も限定的)

の3つの類型に分かれていましたが、これが「後見」と「保佐」が廃止され「補助」の制度に一本化され、本人の意思を尊重して支援する形態になります。

これにより、今までは支援者が何でも代理してできてしまっていたことが、基本的には本人が契約の主体となり、本人がサインする契約を事前に補助人が確認し同意権を行使する形で寄り添う「寄り添い型」になります。

また、必要な手続きごとに、必要性に応じて「手続きの同意権」や「手続きの代理権」を個別に裁判所に申し立てて審判を受けて追加できる「トッピング型」になります。

あわせて、報酬を定めた条文の記載の下記のように改正される予定です。

(2)報酬規程に「事務の内容」を考慮することが明文化された

今までの法律では、報酬の規定について「被後見人の資力その他の事情によって、」と書かれていましたが、今回の改正では、条文に「事務の内容」という記載が追加されました。

事務の内容
現在(民法第862条) 改正後(民法第876条の19)
家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。 家庭裁判所は、『補助の事務の内容』、補助人及び補助開始の審判を受けた者の資力その他の事情によって、補助開始の審判を受けた者の財産の中から、相当な報酬を補助人に与えることができる。

今までは、実際に何をしたかどうかが外からは分からず、報酬額に納得がいかなかったことを考慮して、今回の改正に至ったようです。

ただ、下記のような理由から、実際の報酬額については値下げとなることは難しく、現状維持、または現状よりも値上げとなるのではと危惧しています。

(3)後見と補助とでは、現状費用に差がない

後見と補助とでは、現状費用に差がない

先ほどお伝えした、「報酬に関する実情調査の集計結果について」の資料を分析すると、実は後見人と補助人とで報酬の額にあまり差がありません。

権限が違うにも関わらず、現状は報酬額が同水準で機能しています。

以下、現状の報酬について、親族以外の後見人がついた場合と、親族以外の補助人がついた場合、それぞれ付加報酬ありで比べます。

流動資産額 報酬額(付加報酬あり) 後見 補助
100万円未満 20万円以上の割合 82.8% 85.3%
100万円以上500万円未満 20万円以上の割合 89.4% 89.3%
500万円以上1,000万円未満 20万円以上の割合 90.1% 92%
1,000万円以上5,000万円未満 40万円以上の割合 65.9% 69%
5,000万円以上1億円未満 60万円以上の割合 69.4% 75.8%
1億円以上 70万円以上の割合 64.3% 72.4%

【参考】報酬に関する実情調査の集計結果について- 令和7年7月~12月 -(資料4、資料12)より作成

https://www.courts.go.jp/assets/R7housyukekka.pdf

(4)新補助人の業務量は増える可能性が大きい

新補助人の業務量は増える可能性が大きい

新補助人の業務として増えたものがあります。

① 対象者の拡大と個別調整の増加

これまで後見類型や保佐類型で対処していた、重い認知症などの方についても補助制度で支援することになります。

本人の必要性に応じて適切な同意権、場合によっては代理権を家庭裁判所に申し立てる必要があり、今までより細かい調整が必要になります。

② 原則本人による手続き(代理権がない場合)

代理権がない手続きについては、契約の主体が原則本人になります。

例えば銀行取引を例に考えると、

今までは後見人だけが窓口で振込や通帳記帳などをできていたところが、本人と補助人が一緒に行って手続きをするという形に変わる可能性があります。

③ 本人の意向確認の義務化

改正後は、どのような状態の方であっても、補助人や任意後見人が代理して手続きをする場合には、本人の意向を確認する行動が義務化されます。

過去に、後見人が一度も本人に会いに来ず本人の意思を聞かずに勝手に代理権を行使していたケースが問題視されており、そのような問題の解決を目的として義務化されたものと思います。

補助人または任意後見人の義務として、本人が仮に喋れなかったとしても、代理して手続きをするためには、当該手続き関して本人がどのような意向なのかを確認し、その確認できた意向を反映させなければいけません。

確認行動を起こした結果、どうしても意向が確認できなかった場合には省略して進められるとなっていますが、原則として手続きごとの確認が求められます。

このような点から、新補助人には時間の制約や確認行動が増えることになるため、その分、業務量や負担は増えるのではないかと感じています。

(5)家族の意図通りに終了できるかはわからない

家族の意図通りに終了できるかはわからない

一部では「スポット後見」と報道されていますが、法制審議会の議論でもこの用語は否定されています。私も言葉として誤解を与えるものと感じています。

新しい補助制度において、確かに必要性がなくなれば補助を止められることにはなりました。しかし、実際に止められるまでには、3つのハードルがあると感じています。

  • 担当補助人が、家庭裁判所への報告において「補助の必要性がすべて消滅した」旨を家庭裁判所に報告する必要がある
  • 報告を受けた家庭裁判所は、補助を取り消しても地域で受け入れられるかを地域の中核機関(後見制度に関する相談・調整を担う自治体の公的窓口)に確認し、中核機関から肯定的な意見をもらう必要がある
  • 上記の意見を踏まえ、家庭裁判所として必要性がなくなったと認めた場合には、職権で補助制度を取り消さなければならない

こういった3つのハードルがあります。

そのため、「使いたい手続きが終了したら、簡単に止められるのか」と言われると、なかなか厳しい印象を感じているところです。

(6)家庭裁判所の審判を受けた報酬額に即時抗告はできない

そしてもう一つ、報酬に対しての即時抗告(報酬額に不満がある場合の即時抗告)については、従前の制度と同様、認められないことになっています。

そのため、なぜその報酬額になったかという点はブラックボックスとなり、見えづらいものになってしまうのではと懸念しています。

【5】事前の対策がますます必要になる

事前の対策がますます必要になる

後見制度の改正案を分析すると、次のようなことが見えてきました。

今までの後見制度は、後見人が何でもできる仕組みでした、ある意味丸投げできた仕組みです。

しかし、これにより本人の意向を無視して勝手に物事を進めてしまうことが問題視された結果、本人の意向を尊重するために、後見人が行使できる権限は大きく制限されることになりました。

その結果、本人の意向や権利は大きく守られるようになった一方で、支える側の負担や制限はとても強くなり、ある意味で使いづらい制度になった印象を受けます。

一方で、任意後見制度ついては、使いやすさがとても向上しました。

任意後見制度とは、本人が元気なうちに、将来の後見人を事前に指定しておける制度で、本人と後見人候補者とで公証役場にて任意後見契約を締結しておく、事前にできる対策の一つです。

これまでネックとなっていた後見監督人の設置が必須ではなくなり、

原則として裁判所が認めた場合には設置しないという例外が設けられました。

また、任意後見と補助制度を合わせて利用することができるようになり、これまでの任意後見ではできなかった「取消権」(本人が結んでしまった不利な契約を後から取り消せる権利)を使うこともできるようになりました。

法制審議会の議論を見ていると、やはり任意後見を推進したいという意図が伺えます。

なぜなら、本人があらかじめ後見人を任せたい人を選んでおくということは、最大限に本人の意思を明確化・具体化したものになっているからです。

また、任意後見であれば、実質的かつ包括的な代理権を契約に定めることで、後見人に渡すことも可能です。

つまり、事前に対策をしなかったご家族と、対策をしているご家族との間で、大きな差が開くようになる改正だと感じています。

この改正後を先読みすると、今後はますます事前の対策が不可欠になってくるでしょう。

事前の対策が不可欠

また、この記事を読んでいる人の中には、家庭裁判所の関与が入ってくることを避けたいという方もいらっしゃるのではないかと思います。

その場合には、事前に家族信託契約を締結しておき、守りたい財産の管理権限を親から子供に託しておくことによって財産の凍結を防ぎ、後見制度の利用自体を回避するという方法も有効です。

一度専門家に相談してみたいという場合には、全国どこでもウェブ会議やメールでのご相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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NHK「クローズアップ現代プラス」に出演。「家族信託のトップランナー、司法書士」

早くから認知症対策のへの必要性を感じ、10年以上前から家族信託に取り組む。取扱い実績の総額は100億円を超える。

家族信託業界の先頭に立ち、相談者様が安心して使えるようグレーゾーンを明確化にも注力。税理士と協力して行った国税照会により公表されたルールが業界のスタンダードにもなっている。

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・NHK「あさイチ」
・NHK「クローズアップ現代プラス」
・NHK「ニュースウォッチ9」
・NHKラジオ「三宅民夫のマイあさ!」
・日本記者クラブにて記者会見

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