成年後見と家族信託、任意後見を徹底比較!できること、できないことを分かりやすく解説

<成年後見と家族信託、任意後見とを徹底比較>

(1)後見人をつければ、何でもできるは誤り
(2)途中で止めたいと思った場合はどうするか?
(3)家族信託と任意後見は親に契約能力がないとできない
(4)家族信託では財産の管理はできるが介護サービス契約はできない
(5)折衷的には任意後見契約、但し後見監督人が必ず必要
(6)おすすめは家族信託と任意後見を両方準備する


こんにちは
司法書士の友田純平です。

このコラムでは
現役世代が親の介護で
自身の老後資金や安心生活を
壊さないために必要な情報を
配信をしています。

今日のテーマは、

成年後見と家族信託、任意後見とを徹底比較です!


親の介護について検索をすると、
認知症の問題が必ずと言っていいほど
検索に挙がってきます。

「親が認知症になるとお金が下ろせなくなる」


「認知症になると家が売れなくなる」

など

その解決策としてあげられている制度が

成年後見(法定後見)と家族信託、任意後見です。



それぞれ何が違うのか?
何ができて、何ができないのか?
などは興味があるところです。

今日は、この3つの制度を徹底的に
比較しました。

現場目線で
1歩踏み込んでます。
ぜひ、最後までご覧ください。



(1)後見人をつければ、何でもできるは誤り


「認知症になったらお金がおろせない」

その場合の対策として国が用意しているのが
成年後見(法定後見)でした。

預貯金や財産の管理を担う代理人をつけ、
本人がだまし取られることを防ぎ、
もってご本人の財産を守ることが目的です。

当該代理人のことを後見人と呼び、
家庭裁判所が任命します。
(本人の意思能力の重症度により、
後見、保佐、補助と3段階に分かれますが、
本コラムでは後見を例に比較します。)

図1:財産管理者は誰が選ぶ

後見人をつければ、後見人が
何でもやってくれるわけではありません。


まず、身体の介護や食事を作る、部屋を
掃除するということは、後見人はしません。
ヘルパーとは違います。

後見人の中心業務は
ご本人の財産管理、使用の判断や
契約を本人に代わって行うことです。


後見人が本人の価値観や、
やりたいことやりたくないこと、
ハッピーなことをしっかり認識していれば、
後見人の仕事がご本人のハッピーにつながるます。

しかし、ご本人と後見人との価値観が違う場合には
ご本人にとっては面倒な金庫番を付けられた、
思うかもしれません。

後見人を選ぶのは家庭裁判所であるため
家族が選ばれるとは限らず、
初めてあうような司法書士や弁護士、社会福祉士などの
専門家が選ばれることも少なくありません



そのため、価値観のギャップにより
生じる問題も起こっています。


できることについて、いくつか表にまとめました


表2:制度によってできることと、できないこと


見ての通り、成年後見(法定後見)の場合には、
着任する後見人に左右されることがとても多いです。


例えば、美容院で1万円程するストレートパーマを
かけること、これは贅沢でしょうか?

経験者であれば、
相場はそれぐらいのものと認識していて普通と
捉えるかもしれません。

一方で、千円カットにて済ませている方にとっては
10倍以上もする金額は、贅沢に見えてしまいます。

楽しみにしていてたストレートパーマの
費用を後見人に支払ってもらおうとしたところ、
「贅沢である」という理由で
後見人に拒否された事例があります。

ご本人には知的障害があって、
月に一度の自分の髪にストレートパーマをかけることが
唯一の楽しみだったそうです。


また毎年、正月に豪華なおせち料理を
頼んでいるご家族がいました。

その年も、父と娘で楽しみにしており、
娘からいつものところに予約をしました。

そしておせち代金をもらうため、
父親の後見人にその請求書を持って行きました。

ところが、当該後見人が贅沢であると言い、
お店に連絡し勝手にキャンセルをしてしまったという
事が起こりました。

もちろん、このような専門家ばかりではありません。


但し、実際に選ばれるまでは誰が後見人なるのかが
分からないのが、成年後見(法定後見)の
使いずらい点です。



(2)途中で止めたいと思った場合はどうするか?


実際に使ってみて、わかることも多くあります。

あまりにも使い勝手が悪い場合には、

途中で止めたいと思うこともあるかもしれません。



止め方の比較についてもまとめました。

表3:止めたくなった場合

成年後見(法定後見)では、
本人やその家族が止めたい場合には、
家庭裁判所に対して「後見人の解任」や
「後見の取消し」の審判を出すことを
申し立てる必要があります。

ゼロではないですが、
なかなか認められることは難しいようです。

審判が出ない限り、
後見人を変えることや、
途中で止めることはできません。

本人が亡くなるまで、
終えられなかったということも
少なくないのです。

(3)家族信託と任意後見は親に契約能力がないとできない


成年後見(法定後見)と異なり、
家族信託では、財産の管理を任せたい人を
自分で選び、決めることができます。



任意後見契約でも、後見人になってほしい人を
自分で決め、予約しておくことができます。

知らない第三者が勝手に選ばれることを
はありません。


それだったら成年後見(法定後見)ではなく、
家族信託や任意後見を使いたいと思いませんか?

ただし、注意点があります。
それはこれらの対策は
ご本人の契約能力がある間でないと
することはできません。

表4:対策できる時期は?



認知症などが悪化して寝たきりになってしまった後に、
「子供がなりたい」、たとえ「生前に口頭で言われていた」
としても契約能力がある間に、準備しておかないと
成年後見(法定後見)しか選択できないのです。




(4)家族信託では財産の管理はできるが介護サービス契約はできない


家族信託契約と任意後見契約との違いは、

任意後見契約では、
「家庭裁判所が監督機関になること」及び
「後見監督人として弁護士や司法書士などの
専門家が必ず付くこと」があります。



家族信託の場合には、
家族の中だけで管理が完結し、
家庭裁判所の関与はありません。


家族信託では、
父親のお金を管理し使用することや、
父親名義の不動産を
代わりに管理処分することもできます。

一方で、できないこともあります・

介護保険サービスの契約、
施設入居の契約を代理することは
家族信託ではできません。


現在は、子供などの親族が代筆をして、
利用することができているようです。

もしも、施設などから
後見人を就けないと手続きをできない旨
告げられてしまった場合には、
家族信託をしていても、
後見制度の利用が必要になってしまうのです。


(5)折衷的には任意後見契約、但し後見監督人が必ず必要


「子供に任せたい」
「何でもできるようにしたい」
という希望を叶えるには
任意後見契約をしておくことが適切です。


任意後見契約では自分で選んだ人が後見人に
なることができ、
本人に代わって財産の管理や
介護サービスの契約など幅広く行うことができます。

但し、ここでも一つ注意点があります。

任意後見契約をスタートさせるためには、
必ず後見監督人をつけなければいけません。

表5:監督機関は誰になる?


後見監督人には、任意後見人となる方の配偶者や子供
きょうだいなどの親族はなれません。

多くは家庭裁判所が選任した
弁護士や司法書士などの専門家がなっているようです。

後見監督人の仕事は、
後見人となった子供などが
本人のお金を使い込まないように
見張ることです。

そして後見監督人にも報酬がかかります。

財産額により左右しますが、
年間12万円~36万円を目安に
報酬がかかります。

報酬は本人の財産から
支払っていくことになります。
全額自費負担です。

この点が、任意後見契約の使いづらい点です。

また、よく成年後見(法定後見)と任意後見との違いで、
挙げられる「取消権」について触れておきます。

「成年後見(法定後見)では取り消しができる」が
「任意後見では取り消しができない」と言われています。

誤解をしてはいけないのは
いわゆる『クーリングオフ』や
その他の『消費者契約法に定まっている契約の取消し』は
任意後見でもすることができます。

表6:契約の取消権について


法定後見の取消権とは、
本人が自ら望んで契約をした場合
(騙されたというわけではなく)でも
契約を後からなかったことにできる
とても強い権限です。

この違いの背景には、
任意後見は本人意思を尊重することを
根幹に置いた契約であることが挙げられます。

本人が積極的に締結した契約についてまで、
後見人が取り消しできてしまうのは
本人意思の尊重という点から矛盾するため、
権限を持たせなかったそうです。

一方で、成年後見(法定後見)については
本人が積極的に締結した契約も
取り消すことができます。

とても大きな権限を持っています。

これは、本人が浪費家であるなど、
本人の意思で使わせてしまうと、
今後の生活が成り立たない場合には
必要になると考えますが、
当該強大な権限を使いこなせるかは
後見人の力量にかかってきます。

(6)おすすめは家族信託と任意後見を両方準備する


おすすめは2つの手段をミックスして
準備することです。

家族信託で必要な時に親の財産を
子供が使えるよう準備しておき、
合わせて任意後見契約もしておき、
施設の契約など後見人が求められた場合には
子供が後見人になれるようにしておくことができます。

最後に、
「これをしておけばすべて解決する」という
万能な手段はなかなか確立をされていません。

その家族ごとの希望や状況に合わせて、
おすすめの手法が変わってきます。

メリットがある一方で注意点があります。
注意点も伝えてくれる専門家が信頼できる専門家だと
思います。


利用の参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。

<成年後見と家族信託、任意後見とを徹底比較>
(1)後見人をつければ、何でもできるは誤り
(2)途中で止めたいと思った場合はどうするか?
(3)家族信託と任意後見は親に契約能力がないとできない
(4)家族信託では財産の管理はできるが介護サービス契約はできない
(5)折衷的には任意後見契約、但し後見監督人が必ず必要
(6)おすすめは家族信託と任意後見を両方準備する

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