叔父・叔母に介護を頼まれた場合に、知っておきたい3つのこと

叔父・叔母に介護を頼まれた場合に、知っておきたい3つのこと

(1)叔父さん叔母さんの介護は義務ではない
(2)子供でないからできないこともある
(3)法律制度を活用しサポートしやすくする


※コラムの最後に分かりやすい解説動画も掲載中

 

司法書士の友田純平です。

このコラムでは、
介護に振り回されず、
自身の老後資金や安心生活を
守っていくために必要な情報を配信しています。

 

今年は、
甥姪に頼りたい子供のいない方が
知っておいた方がいい情報も注力配信していきます

 

記事の最後にはお役立ち動画
【完全解説】甥姪に頼りたい子供のいない夫婦の対策の始め方
の紹介もあります!

今回は、

甥っ子姪っ子の立場にたったときの
不安や疑問に答える内容をお届けします。

ご相談に来られた方の中には、
「近所に住み叔父さん叔母さんに、
毎日食事を作りに行くなど、
身の回りのお世話をされている甥姪さん」も

「叔父さん(父の弟)が老後の面倒を
当てにしているようなのだが
以前にトラブルで嫌な思いをしたこともあり、
関わりたくないという甥姪さん」も
いました。

どちらも事情をお聞きすると
その判断は正しいと感じました。

叔父さん叔母さんの介護等は
義務ではありません。
無理に引き受けるものでもありません。

また、
お子さんのいない叔父さん叔母さんにとっては、
甥姪は近くで頼れる存在でもあります。

甥姪は「実の子供」でないため、
生じる問題があります。

その具体的な内容と解決策を
お届けします。


 

(1)叔父さん叔母さんの介護は義務ではない

「叔父さん叔母さんから将来の介護を頼られている。
子供はいなくて、貯蓄もあまりないようです。
家庭の事情もあり、頼られても困ってしまう。
扶養の義務などはあるのでしょうか?」

民法には、扶養義務について定めた条文があり、
そこには下記のように記載されています

——————————
民法第877条 (扶養義務者)
1 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
——————————

甥姪は「三親等の親族」となるため
条文だけ見ると、
まるで扶養義務があるように読めます。

しかし、この点は下記のように考えられています。

——————————
①「特別の事情」を前提としているところ、
よほどの事情でない限り『特別の事情』ありと
認めるべきではないとされている。

(補足)
よほどの事情とは、
具体的には、叔父叔母の扶養をするために財産を
相続した場合等が挙げられています。

 

②甥姪に課せられる扶養義務は「生活扶助義務」であり、
「生活保持義務」ではない

(補足)
「生活保持義務」とは、扶養義務者自身(甥姪)と同じ水準の生活を、
被扶養者(叔父叔母)にも保障する義務をいいます。
しかし、生活保持義務は甥姪にはなく、
被扶養者の配偶者や、
被扶養者が未成年の子どもである場合の両親の場合となっています。

一方で「生活扶助義務」とは、扶養義務者自身(甥姪)の生活は
通常どおり送れることを前提として、
その余力の範囲内で、被扶養者(叔父叔母)を扶養する義務をいいます。
——————————

つまり、

甥姪は原則として、扶養義務はなく、

 

万が一、特別な事情で家庭裁判所から扶養を負う事を命じられても
自身の生活に余力がある場合に

「余力の範囲内」での扶養になります。

 

そのため、
もしも叔父さん・叔母さんなどから
頼られた場合でも
断ることもできるのです。

 

(2)子供でないからできないこともある

「将来何かあったら面倒を見てくれる」
そんな甥姪は、
叔父さん・叔母さんにとって、
お金には変えることのできない存在です。

しかしながら、

「子供でないから、障害になることがあります」

 

その点を、法律を使いこなして、
どう対策をするかが重要となります。

例えば、
叔父叔母が既に認知症が進んでしまい、
施設入所に自身では契約能力が難しく、
手続きができない状態の場合、

施設費用のお金を叔父叔母の口座から

本人に代わって振り込もうとしたら、
銀行から断られてしまうことがあります。

 

子供であれば、金融機関も
配慮して対応してくれることもありますが、
甥姪だと難しくなります。

各銀行には、「代理人届け」というサービスがあり、
あらかじめ届けておけば、
本人の代わりに手続きができるもがあります。
しかし、代理人の範囲については
「生計を共にする親族」と限っているケース
(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行など)や、
「2親等以内の親族」としているケース
(三井住友銀行など)となっています。

甥姪は3親等ですから

代理人範囲の対象外となり利用はできません。

 

その他にも下記のような問題が
起きる可能性があります。

「施設入居の手続きを代わりにしようとしたら

施設から断られる・・



「本人が寝たきりの状態で、延命治療の医療同意が
求められる場合でも、

医療同意ができない

」など。

また、叔父(叔母)の相続が発生した場合、

甥姪は例外(下記記載※)以外では相続人ではありません。

 

そのため、
「相続発生後の相続の手続き」や

「住んでいた部屋が賃貸の場合の片付け、大家さんへの引渡し」
も容易ではありません。

※例外とは、叔父(叔母)に子供や養子がなく、両親も死亡、
かつ甥姪の親(叔父(叔母)の兄弟姉妹)も亡くなっている場合、
甥姪が親の相続権を代襲し相続人になります。

遺言書がない場合、相続人全員の同意がないと、
相続手続きは前に進みません。

相続人とは、叔父さん(叔母さん)の配偶者、
叔父さん(叔母さん)の兄弟姉妹全員、
もしも亡くなっている方がいる場合にはその子供です。

最後まで面倒を見ていたとしても、
なにも準備していなければ、
甥姪は相続人にすらならない事もあるのです。

実際にあったご家族です。
実の兄が高齢の妹(独身・子供がいない)の面倒を
最後まで見ていた場合でも、
相続の分け方に他の相続人が納得せず、合意が取れませんでした。
そのため、相続手続きが進められませんでした。

他の兄弟姉妹に介護の負担をかけないように
配慮していたとしても、
相続時には上記のような問題が起こる事も多くあります。

さらに、医療費や生活費の立替も
相続人の全員の同意がなければ、
回収することもできません。

甥姪は兄弟姉妹よりも遠い存在です。
そのため「相続人全員の同意」は困難だと
いう事を前提に対策をしておいた方がいいでしょう。

 

(3)法律制度を活用しサポートしやすくする

先ほどに挙げたトラブルも
対策をしておけば回避することが出来ます。

いくつか制度を紹介します。

①任意後見契約

預金の引出しや施設入居手続きで、後見人を就けることを
求められた時に、甥姪が優先的に後見人になれます。
公証役場での手続きが必要です。

②家族信託契約

金銭について、甥姪が代わりに管理することができ、
叔父叔母の必要費用を支払うことができます。
叔父叔母が重い認知症等で寝たきりになっていてもその悪影響を
受けません。
また、賃貸不動産を所有している場合に、その賃貸不動産の管理を
甥姪に任せ、経営が止まらない仕組みを作ることができます。

③尊厳死宣言

延命治療の可否の医療同意について、
判断能力のある内に準備しておけば
親族の同意がなくても、医者に伝えることができます。

④遺言

相続に備える対策で、子供のいない方は
必ず必要になります。

遺言で定めておけば、相続人ではない甥姪への遺贈の指定もでき、
相続人全員の同意を得ることなく、
相続の手続きを進めることができます。

自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、
公正証書遺言で作ることがおすすめです。

⑤養子縁組

叔父さん叔母さんと甥姪との間に、
法律的に親子関係を作る制度で、
実際の子供と同じ立場になります。

しかし一度、養子縁組をすると、
簡単には解消ができないため
注意が必要です。

いかがでしたでしょうか?

甥姪の方が叔父さん叔母さんの介護をする場合には
実の子供でないため、法律上守られていないことが
多くあります。

上記の方法を組み合わせて対策することで、
叔父さん叔母さんが安心して
甥姪に介護を頼むことができるのではないでしょうか。

「ぜひ法律を知って使いこなす!」
解決できる制度はあります。

お役に立てれば嬉しいです。

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知っているか知らないかで大きく差が出ます。
今日もご覧いただきありがとうございました。

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